
【退職時の離職票とその手続き】提出期限や必要な書類についてご紹介
退職時の手続きについて必要なのは離職票です。退職前に離職票の手続きを済ませておく必要があります。また、手続きをする前にも期限など様々なことについて知っておく必要があります。また、事業主などが離職票の手続きをしてくれない場合の対処法なども把握しておく必要があるでしょう。今回は退職前に必要な離職票の手続き方法についてご紹介します。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?
退職前に離職票の手続きをしよう
退職の意向が固まり、退職日を会社と調整したあとに、会社から離職票の要否が確認されます。
必要として会社側に申出があった場合には、会社は離職票を作成して離職者本人に渡さなければなりません。その作成は、主に給料計算をしている部署が行っている場合が多いようです。
離職票は失業給付申請時に主に利用されます。
つまり、この提出が遅れるとその分手当の支給開始日が遅れることになります。
離職票とはどのようなもの?
この離職票には2種類あります。そこでまず「離職票-1」と「離職票-2」の違いと、何が書いてあるのか、何を書く必要があるのかを概略で説明します。
離職票-1とは?
「離職票-1」は、事業主(会社)が上段の部分の被保険者番号、資格取得年月日(雇用保険に入った年月日)、離職年月日、被保険者の種類を記入します。
また、離職者本人が、雇用保険の失業給付(基本手当)の振り込み先の口座を記入することになっています。
その際、わからなければ、ハローワークで記入してほしい欄は指示があると思いますので、担当者の人の指示に沿って記入すればよいです。
基本的に、本人が記入する個所は、失業給付の基本手当の振込先くらいですが、ハローワークの担当者が振込先を確認することがありますので、離職票をハローワークに提出際には、念のために振込先の通帳があれば、それを持っていくことをお勧めします。
離職票-2とは
「離職票-2」は、様式の左側は事業主側が記入する欄になります。
そこには、被保険者番号、事業所番号、名前などがありますが、最も重要な項目が、「離職日以前の賃金支払い状況」の欄です。この欄の記入内容によって失業給付の基本手当の支給額が決定することになるからです。
そこで、直近の6か月の給与明細と照らし合わせてチェックすることをお勧めします。それから、様式の右側は事業主と離職者本人が調整して共通の意思を基に記入する欄になります。
そこには、離職理由を記入する欄があります。この欄の記入内容によって失業給付の開始日や期間が決定しますので、記入前に頑張って事業主と離職者本人は調整することをお勧めします。
そして、最後に離職者本人によって、事業主側が記入している離職理由について異議の有無を明確にするために、氏名の記入と認印の押印(以下、サイン)をします。
要するに、このサインをするという行為は、事業主側の主張している離職理由と、離職者自身の理由と一致していることを確認するというものになります。
なお、ここで、異議なしということでサインを行うと後に、ハローワークにて失業給付の手続きの際に異議も申し立てても、覆すことがほぼ困難になりますので、離職者本人は退職する際に事業主側と揉めた場合は慎重に行うことが必要になります。
なぜ離職理由が重要なのか
「離職理由」ということがなぜ重要なのかというと、事業主側にとっては、会社の都合で辞めさせることが多くなると、国や行政からの助成が受けられなくなるかもしれない。
というデメリットを危惧するからです。一方、離職者本人側にとっては会社都合になれば、すぐに失業給付が始まる。というメリットもあるからです。
この離職理由が後々トラブルになるきっかけになる主な要因なのです。
離職票の手続きに期限はあるの?
事業主は、離職者の退職日と離職票発行が必ずしも同時である必要はありません。
ただし、離職者の発行希望があれば、会社は速やかに発行しなければならないとなっています。よって、離職者は通常は退職日から10日間前後待つと、事業主から主に郵送で送られてくることが多いようです。
それでも届かない場合には、事業主に確認をするようにしましょう。
特に中小事業者は、担当者の手が回らないとか、そこまで意識が足りないという理由で処理を停滞させていることがあります。しかし、先述相当期間を待っても入手できなかった場合で、失業給付を行いたい場合は、ハローワークに届かない旨を相談することもできるようです。
その際に仮手続きを行うことも制度としては可能となっています。
事業主が負う手続きで、提出期限は10日前って本当?
事業主は、離職者が出た場合、その離職者の離職日翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」の届け出をハローワークに行わなければなりません。
これは、従業員が雇用保険の被保険者資格を失ったことを届出る書類になります。
その際には、原則として「雇用保険被保険者離職証明書」を添付の書類として出さなければなりません。これは従業員が離職したことを証明するという書類であり、これらの書類が離職票発行につながっていく重要な書類なのです。
そしてもし、その期間内に届け出をしなかった場合、雇用保険法第7条違反となります。この違反に対する罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。
離職票発行の手続きに必要な書類とは
一連の離職票発行の手続きに必要な書類は、基本的に事業主側が作成しますが、主に4種類の書類があります。
雇用保険被保険者離職証明書
これは喪失届の添付書類として提出します。
この書類には、賃金支払状況や離職理由の記載欄があり、その記載内容により、雇用保険の基本手当の日額、給付制限の有無、給付日数が異なってくるので、離職票発行のためにも極めて重要な書類となります。
離職証明書・出勤簿・賃金台帳
離職票の元になる離職証明書には、先述の通り賃金支払状況を記載する欄があります。
ここには賃金支払対象期間、その期間の賃金支払基礎日数などを記載する欄があります。そしてこの内容が合っているかを確認するためにも、「出勤簿」を離職票の添付書類として提出する必要があります。
またこの離職証明書には、賃金支払対象期間の賃金額がいくらだったかを記載する欄も存在しますので、添付書類が必要になります。この賃金額が基礎となり、雇用保険の失業給付(基本手当)の日額が決定されるため、極めて重要になります。
事実関係と間違いないかをチェックするためにも、「賃金台帳」を添付書類として提出する必要があります。
事業主が離職票の手続きをしてくれない場合
先述のように、特に離職者が発行を希望する場合には、離職票を速やかに発行しなければなりません。
しかし、事業主によっては、交付を拒否する場合も考えられますが、離職票の交付を拒否した場合は、明らかに雇用保険法第76条第2項(報告等)違反となります。
またその違反に対する罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金になります。
しかし、それでも発行してくれない場合には、先述のようにハローワークに発行がない旨を相談に行くとよいでしょう。その際に希望すれば、失業給付の仮手続きを行うことも制度としては可能となっています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は離職票の手続き方法についてご紹介しました。
この離職票については、事業主側には手続き及び発行の義務があり、離職者側には手続き・発行をしてもらう権利があると言ってもよいと思います。
しかし、昨今では欧米のように転職を行うことに対してのハードルが低くなってきています。
つまり離職をする従業員が以前に比べて多くなってきているということになります。一方で、今後は労働人口の減少が叫ばれる中、特に中小企業では人材確保が問題になるため、事業主側が円満なる退職として扱わない例が多くなっていくことが予想されます。
そのようになる場合には、この離職票の発行段階また記載内容でトラブルにつながっていくことも多くなるとも考えられます。
そこで、従業員側もこのような知識を身につけておき、退職手続きに関して事業主任せにせずに、対等な観点で手続きをスムーズに進められるようにしておかなければならないと言えるでしょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。