
【上司のパワハラに耐えられない人へ】一人で悩まずに解決するために
皆さんの職場環境は円満ですか?上司のパワハラに悩まされている部下は少なくないです。上司のパワハラが辛くて会社を辞めてしまう方もたくさんいますし、実際に事件も起きています。そこで今回は、上司のパワハラへの対策について書いていきます。ぜひ参考にしてみてください。
パワハラ上司を訴えることは可能
パワハラに苦しんでいる人は、行動をしているはずです。
あるいは、自分で行動に起こせないほどに追い詰められていることも考えられます。
状況が変わらないような場合には、パワハラ上司を訴えることも可能です。
会社が動いてくれないような場合の、自分でできる正しい対応方法を身に着けておきましょう。
ただし、訴えるといっても、いきなり慰謝料の請求といった流れにはなりません。
事前に注意点として把握しておきましょう。
訴えは企業に対してか、裁判所に対して行う
まず前提として、訴えは企業に対してか、裁判所に対して行うことになります。
企業に対して訴えを起こす場合には「通知書」と呼ばれる書式が使用されます。
パワハラを辞めさせるために弁護士から送られる公的な手段となります。
また、うつ病などの疾患や身体的な問題が起こっている場合には、裁判所で上司か企業と争うことになります。
この場合は、裁判所へ申し出る形を取りましょう。
録音などの証拠を揃える
次は証拠を揃えます。
本人に直接言う場合も、他の機関に相談する場合も証拠が重要になってきます。
- いつ
- どこで
- どのような内容を
- どれくらいの間
- 誰に受け
- どう思い
- どうなったのか
ということをなるべく詳細に残しておきます。
例として、備忘メモ・メール・ボイスレコーダー・第三者の意見、証言・病院の診断書などがあります。
また、相談時のやり取りもできるだけしっかりと記録しておきましょう。
特に有効な手段として
- ボイスレコーダー
- メールや書面の内容
などが直接的な証拠として挙げられます。
弁護士に依頼しよう
基本的に訴えを起こす場合には、弁護士に依頼すべきでしょう。
多少の費用がかかることも想定されますが、訴えを無駄にしないための最善の選択と言えます。
基本的に訴訟を起こす場合は、請求する損害賠償額に応じて手数料が変動します。
訴訟額 | 手数料額 |
100万円以内 | 訴訟額10万円ごとに+1,000円 |
100〜500万円 | 10,000円と訴訟額20万円ごとに+1,000円 |
500~1,000万円 | 30,000円と訴訟額50万円ごとに+2,000円 |
1,000万~10億円 | 50,000円と訴訟額100万円ごとに+3,000円 |
上記の金額に加え、弁護士に依頼する場合は+50〜100万円ほど費用が増えます。
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相談料
30分ごとに5,000円〜10,000円程度。
弁護士事務所によっては無料相談を実施しているところもあります。
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着手金
請求額が300万円以下の場合は請求額の約8%、3000万円以下の場合は請求額の約5%になります。なお、労働審判の申立を行う場合は15〜20万円(消費税別)ほどかかります。
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成功報酬
回収できた残業代の約20%〜30%(消費税別)が相場です。
上司からのパワハラの背景とは
増加するパワハラ件数
パワハラの件数は年々増加の一途を辿っています。
厚生労働省の相談窓口である「あかるい応援団」には、平成26年には62,191件、平成27年には66,566件、平成28年70,917件の相談が寄せられています。
働き方が自由になりつつあるとされる反面、年間4,000ずつ上司のパワハラに悩むサラリーマンが増加していることも事実と言えます。
上司にはパワハラを行っている自覚がない
パワハラが減らない理由として「上司にパワハラをしている自覚がない」ことが大きな要因を占めています。
社会保険労務士がこれまでの事例や判例を分析したところ、
- 遊び感覚
- 教育の一環
といったキーワードが共通しており、被害者の心の痛みに気付けないことが1番の問題点と考えられています。
耐える必要は全くない
「毅然と戦うべき」と言えばそれまでなのですが、現実はそんなに簡単なものではないと思います。
残念ながら、上司からのパワハラ被害を泣き寝入りしてしまう方も多いでしょう。
経済的な問題から声を上げられないという方も少なくない傾向にあります。
パワハラ上司の特徴3種
上司のパワハラの特徴は、
- 言葉の暴力に気づいていない
- 職場の地位・優位性を利用している
- 相手の人格や尊厳を侵害する行為
の3つです。
言葉の暴力に気づいていない
上司と被害者の間で暴力的な言葉が使われていることがそもそも問題です。
上司は部下への気遣いを失っており、自分が発する言葉が相手を傷つけていること気づけていない状態に陥るわけです。
職場の地位・優位性を利用している
職場上の権力を利用して嫌がらせを行います。
従来の業務の範囲を超えた指示や強要を行ったり、個人的な私用を頼んだり、謝罪させるのに土下座を強要したりします。
相手の人格や尊厳を侵害する行為
「使えないやつだ」などと、相手を侮辱する精神攻撃的なパワハラや、職場内で無視をするなどの人間関係切り離し型パワハラを行ってきます。
実際に起きたパワハラの訴訟事例6選
上司からのパワハラの改善策を見つけるために、これまで起こった具体的な事例も把握しておきましょう。
自分が悩んでいる上司との関係に似通っているケースがあれば、労災などの法的な手段で自分自身を助けられるかもしれません。
阪神高速パトロールの事例
この事例は、2010年に入社した男性が上司からのパワハラを受けたというものです。
被害者の男性は幼少期から空手を始め、高校ではインターハイに出場するなどの実績がありました。
しかし上司は、「お前の空手はなんちゃって空手だ」と男性の空手を否定しバカにする発言をしました。
他にも、「殺すぞ」「歩き方が気に入らない」「道場へ来い。道場やったら殴りやすいから」などの発言を重ね、男性を精神的に追い詰めていきました。
2012年5月に自ら命を絶つ結末となり、2017年9月30日に労災認定を受けた事例です。
静岡ハローワークの事例
このケースは2015年1月に発生しました。
職場を総括する立場である課長の男性が、他の職員の指導中に突如、勤務していた被害者の女性を背後から拳で3回殴ったというものです
男性は日常的に職員に威圧的な態度を取ることがあったようです。
女性は不安抑うつ状態と診断され、一時休職を余儀なくされたとして、国と男性に対して慰謝料630万円を求めて提訴しています。
青林堂の事例
この事例は、「青林堂」という出版社で発生したものです。
労働組合の結成を機に解雇を言い渡され、労働委員会との和解後にパワハラがあったことが発覚したものです。
営業職でありながら外出や電話を禁じられる、「バカだからできない」などの言葉の暴力が原因でうつ病になったといった主張もあり、会社に対しての慰謝料2,000万円余りの損害賠償を東京地方裁判所に申し出ています。
誠昇会北本共済病院の事例
准看護師として勤務していたAさんが、上司に当たるBから個人的な命令をされたり、飲み会に朝まで無理やり付き合わせたり、「死ねよ」「殺すぞ」などの暴言・メールを受けた事例です。
結果としてAさんが自ら命を絶ち、Aさんの遺族がBと病院に対し訴訟を起こしました。
Bのパワハラが原因のものと認められBに対し1,000万円、病院とBが連帯して500万円の損害賠償責任を負うように命じました。
日本ファンドの事例
消費者金融の従業員3人が会社と上司に対して、パワハラ訴訟を起こした事例です。
原告Aさん、Bさん、CさんのうちAさんは抑うつ状態になり休業しました。
Aさんに対し60万円の慰謝料と治療費、休業補償
Bさんに対し慰謝料40万円
Cさんに対し慰謝料10万円の支払いを、上司と会社に命じました。
上司のパワハラの内容として、
- 本来扇風機が不必要な時期にAさん、Bさんに対して当て続けた
- 「給料をもらいながら仕事をしていませんでした」などと理不尽な始末書を書かせた
- Cさんに対して背中を殴打したり、叱責しながら足で蹴るなどの行為をした
などが認められました。
ザ・ウィンザーホテルズインターナショナルの事例
上司から受けたパワハラが原因で精神疾患を発症し、長期間の休業を余儀なくされた末に自然退職扱いにされた事例です。
自然退職扱い後も会社の従業員としての権利があるとして、賃金を請求する訴訟を起こしました。
判決としては、精神的苦痛による慰謝料150万円は認められたものの、精神疾患とパワハラの関連性は認められずに自然退職後の賃金請求は退けられました。
上司のパワハラの対策方法2選
まずは一人で我慢せずに、自分なりに情報を集め、自分と上司の関係がおかしいことを把握しましょう。
そして、ここから紹介する、正しい対策方法を実施していくことをおすすめします。
社内への報告・相談をしよう
多くの方が上司のパワハラを我慢してしまう傾向にあるものの、現状を変えていくためには社内への報告や相談に踏み切るしかありません。
中途半端な対応によって上司との関係が変化してしまうことに恐れを感じてしまうかもしれません。
しかし、果たして今のまま耐え続けたとしても改善する可能性はあるのでしょうか。
上司の上司、または人事部など、職場の環境を冷静に観察できる存在を頼る方が、改善の見込みがあるでしょう。
労働問題専門の機関に申し出よう
仮に社内への報告や相談をした上で、十分な対策が講じられなかった場合には労働問題専門の窓口に相談できるため、上司との関係を心配しすぎる必要はありません。
労働問題専門の窓口とは、具体的には労働局や労働基準監督所に設置されている相談窓口のことを指します。
解雇や雇い止め、不当な配置転換、パワハラや嫌がらせなどのハラスメントの相談に乗ってくれます。
前述した事例に近い扱いを受けている場合には、これらの機関に守ってもらえる対象になる可能性もあります。
転職を考えている方はエージェントを利用しよう
上司のパワハラによって転職を考えている方には、転職エージェントを利用することがおすすめとなります。
転職エージェントには、様々な企業への転職ノウハウやミスマッチを防ぐためのノウハウが蓄積されていますので、自分に合った転職先を見るけることが可能と言えるでしょう。
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