
懲戒処分と出世|将来どのような影響があるのかについて解説
懲戒処分には様々な種類がありますが、一度処分を受けてしまうと、その後の人生に大きな影響があることも事実です。その一つに出世への影響がありますが、これについては企業によって基準が違ってきます。この記事では「懲戒処分」による出世への影響や、それ以外の影響について解説します。
懲戒処分を受けたら出世は難しい?
「懲戒処分」を受けたとき、従業員の行為の性質・態様・事情を踏まえて客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは、労働契約法でその権利を濫用したことになり処分は無効になるようです。
ただし、人事考課・人事異動の有効性について規定する法律はありません。基本的に事業所の就業規則に記載されている内容次第であるので、事業所の裁量に委ねられているようです。
懲戒処分は人事考課に影響する
「懲戒処分」は人事考課に影響するケースがあります。人事考課は事業所ごとの独自な基準があります。同時に「懲戒処分」に関しても事業所ごとの独自な基準を設けて就業規則に記載してあります。
「懲戒処分」と人事考課は事業所にごとに基準が異なるようです。人事考課は個人の業績、所属部門の業績、発揮能力、勤務態度、経営理念への共感度、行動指針の体現度、社内ルールの順守と事業所によって多様です。その人事考課に対して「懲戒処分」を科された従業員は、評価減になるケースがあるようです。
人事考課の基準で「部門を越えた社内での協調性」「会社のお取引先様に迷惑をかけない」と規定があると、事業所内または事業所外で非行行為を行ったとき「懲戒処分」の規定に抵触するのです。
一度「懲戒処分」を科された従業員は、評価減になることを認識しましょう。
昇格を懲戒処分の一環として行うのは違法
「懲戒処分」を科された従業員を昇格の対象外にすることは事業所の裁量になります。
例えば、同期で同様な成績である従業員が2人勤務しています。入社5年で好成績なので、1人を課長に昇格するときに「懲戒処分」を科された従業員は対象外になるようです。人事異動による昇格は事業所の総合的裁量的判断になります。
上記のケースでは、同様な昇格基準であるにも関わらず昇格格差を生じることは労働法で違法となります。
しかし、事業所が社会通念上許容できないと判定したときは、その範囲ではなくなるようです。
公務員は退官まで懲戒処分の影響を受ける
国家公務員・地方公務員は「懲戒処分」を科されると人事システムに処分内容が登録される仕組みになっています。退官・退職するまで記録が残る仕組みですので、将来にわたって不利な扱いを背負うようです。
国家公務員・地方公務員の該当者は、人事考課・昇給査定・賞与査定・周囲の評価などに影響します。「戒告」の軽い処分であっても、深刻な影響があるようです。
上司に媚びを売って出世しようとする社員をどう思いますか?
私が今年から配属された部署には、上司に媚びを売って評価を得ようとする女性社員がいます。
上司が部下の評価をするので、上司に嫌われないようにするのはわかるのですが、要領よく、好かれるキャラを演じています。
仕事の力量は可もなく不可もなくという感じなのですが、上司からの評価が高く出世最有力候補です。
私は仕事の能力ではない点で評価されるのは納得いきません。社会人としていきていくには、このようなことは仕方がないのでしょうか。
あのスティーブ・ジョブズでさえ自分が起業した会社を追放されました。
仕事ができさえすればそれで良いと言うのは、職場が人間が集団生活をする場であると言う事実を忘れています。
人間誰かを…続きを見る
懲戒処分を受けた場合の出世以外の影響とは
「懲戒処分」を科させた従業員は出世以外に影響があるのでしょうか?支給されている給与や賞与、退官(退職)後の再就職に影響があるか否かを紹介していきます。
給与に関わる査定に影響する
「懲戒処分」を科された従業員は給与への影響があるのでしょうか?
「懲戒処分」の減給・停職は文字通りに給与減と欠勤になるので無休になります。戒告は注意を受けるだけですので給与への影響はありません。
しかし、賞与の査定に影響する可能性があるようです。公務員の賞与は勤務態度などを反映して査定金額が決められるため、戒告処分が原因となってボーナスが減額されることは考えられるようです。
退職金の減額の可能性がある
「懲戒処分」を科された従業員の退職金が減額させるケースがあるようです。
国家公務員退職手当法12条に、当該退職をした者が行った非違の内容及び程度、当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響その他の政令で定める事情を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる規定があります。
「懲戒処分」のうちもっとも軽いものである戒告処分において、減額がされてしまうおそれがあるようです。
転職活動が難しくなる
「懲戒処分」を科された従業員の、再就職に影響があり得ます。「懲戒処分」を科されてから公務員を退官(退職)し、転職活動をするときには気をつける事項があります。
それは、「懲戒処分」を受けた場合は履歴書の賞罰欄に記入することです。これは最も軽い「懲戒処分」である戒告処分を受けた時も同じことです。
もしも履歴書に虚偽の内容を書けば、虚偽記載となり不利な事態になるケースがあるようです。
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逆に出世を拒否した場合懲戒処分になるのか?
「懲戒処分」を科された従業員は出世ができなくなる説明をしました。これから従業員が出世を拒否したときに、どのような処分があるか紹介していきます。
正当な理由がない場合は懲戒処分になり得る
上長への昇進拒否者は「懲戒処分」に科されるのでしょうか?
昇格は縦型の人事異動に当たり、配置転換の横型の人事異動と同様、業務命令(人事発令)になります。その業務命令が合理性をもつ限り、正当な理由なくこれを拒否することはできません。
つまり、業務命令違反とされて「懲戒処分」の対象になるケースがあるようです。
昇進拒否の正当な理由となるケース
上長への昇進拒否者でも正当な理由があるときは認められるようです。
第1に雇用契約書などに「勤務地」「職種」が限定されているケースについてです。
雇用契約書で限定した勤務地域外や該当職種以外の異動を求められた場合は、正当な理由がない限り契約違反になりますので、拒否ができるようです。
第2に事業所が「権利の濫用」といえるケースです。
事業所が気に入らない従業員を困らせて退職させたりするために、慣れない職務に就かせたり、遠隔地へ転勤させたりするような、人事異動が嫌がらせだと思われる場合、目的が不当として拒否できるようです。
第3に育児や介護などやむを得ない事情があるケースです。
要介護の親族がいて面倒を見る人が自分以外いないという従業員に、海外転勤を命じられたとき不利益が大きすぎることから、人事異動は拒否できるようです。
懲戒処分を受け出世の見込みがなくなったら
「懲戒処分」に科された従業員は昇級・昇格の見込みがなくなるケースが多いようです。
当事者は将来を見越して退職して再就職することを検討してはどうでしょうか?
転職を視野に入れて考える
「懲戒処分」に科された従業員は昇級・昇格の見込みがなくなるケースが多いようですので、転職エージェントに相談すること検討しましょう。
転職エージェントは客観的な状況を整理して、再就職先の斡旋をしてくれます。
場合によっては懲戒処分の正当性を争うことも視野に
「懲戒処分」の正当性を争うことも視野に入れる選択肢があります。
確たる理由も無く「懲戒処分」を科された場合や、過度な「懲戒処分」が科された場合は、「懲戒処分」権の濫用として「無効」と主張することが、労働契約法15条で規定されています。
訴訟・労働審判を起こすことで事業所と争議ができるようです。
弁護士や社会労務士など専門家に相談する
「懲戒処分」を科された従業員で、処分内容が出勤停止(停職)、諭旨解雇、懲戒解雇のときは弁護士・社労士などの専門家に相談しましょう。
懲戒処分」に該当するか否か、対象となる事案があるか、本当に「懲戒処分」なのか当事者が判断することは難しいようです。
そのために弁護士・社労士などの専門家に相談することが必要なようです。
まとめ
「懲戒処分」は事業所内外で非行行為を起こしたときに適用される制裁罰です。一度「懲戒処分」を科された従業員は昇給・昇格に影響があるようです。
その時の過ちで出世の弊害になる制裁罰が「懲戒処分」であるようです。
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