
内定承諾後に辞退する割合は?新卒・中途それぞれの理由詳しく解説
内定承諾後に辞退する人の割合について気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では新卒・中途の内定辞退率を図解でわかりやすくお伝えします。また、内定承諾後に辞退する理由やよくあるトラブル例、内定辞退する場合に注意すべき点も併せて解説します。
内定承諾後に辞退する人の割合
内定承諾後に辞退する人の割合は新卒で約6割、中途で約1割です。
これから、新卒と中途の内定辞退率について数年間の推移と共に解説します。
新卒で内定承諾後に辞退する人の割合
参照:リクルート就活みらい研究所『就職プロセス調査 (2022年卒)「2021年9月1日時点 内定状況」』
リクルートの調査によると、2022年度9月1日時点の就職内定辞退率は62.1%と例年より高い割合でした。
また、例年では4月1日時点で就職内定辞退率は20%前後ですが、7月1日時点で50%前後、3月卒業時点では60%前後という推移で内定辞退が進んでいきます。
中途で内定承諾後に辞退する人の割合
参照:マイナビ『中途採用状況調査2022年版(2021年実績)』
マイナビの調査によると、中途採用の内定辞退率は2021年で11.0%と、およそ10人に1人の割合で内定を辞退しています。
また、年次ごとの内定辞退率は2019年で22.1%、2020年で15.7%、2021年で11.0%と年々減少傾向です。
内定承諾後に辞退する人の理由
これから新卒・中途に分けて内定承諾後に辞退する人の理由をご紹介します。
内定承諾後に辞退を考えている方はぜひ参考にしてください。
新卒で内定承諾後に辞退する人の理由
- 他社から内定をもらった
- 希望の職種ではなかった
- 志望する業界や職種が変わった
新卒で内定承諾後に辞退する人の理由は以上の3つです。
新卒では複数の企業から内定を頂くことが一般的であるため、志望度の高い企業から内定を頂くと既に内定を頂いている企業を辞退しなければなりません。
また、内定を頂いた職種や業界への志望度が変化することで内定承諾後に辞退するケースもあります。
中途で内定承諾後に辞退する人の理由
- 他社から内定をもらった
- 待遇面で折り合いがつかなかった
- 家族からの反対
中途採用で内定承諾後に辞退する人の理由は以上の3つです。
新卒の場合と同様に、転職活動でも複数の企業から内定を頂くことは一般的なので、もし志望度の高い企業から内定を頂いたら他の企業の内定を辞退することが必要です
また、内定を頂いたものの年収や福利厚生など待遇面で本人及び家族と折り合いがつかず、内定辞退に至るケースもあります。
内定承諾後に辞退する場合のよくあるトラブル例
内定承諾後に辞退する場合のよくあるトラブル例について紹介します。
- 損害賠償請求
- 内定辞退の引き留め
損害賠償請求
内定承諾後に辞退した際、最悪のケースだと損害賠償請求される可能性があります。
実際に以下のような『X社事件』と呼ばれる内定承諾後の内定辞退に対して損害賠償が請求された裁判の例があります。
いわゆる事件名:X社事件
争点:入社前面接の際の人事担当課長の発言が、黙示の内定取消しあるいは内定辞退の強要に当たるか、また、内定辞退が債務不履行に当たるかが争われた事案
事案概要
(1) Y社から採用内定を受けた平成23年3月に大卒予定のXは、入社前研修の際に、人事担当課長から黙示の内定取消しを受けあるいは内定辞退を強要され、内定辞退を余儀なくされたとして損害賠償を求めたところ、Y社も、Xの内定辞退は著しく信義に反し不法行為又は債務不履行であり、また本訴請求は不当訴訟に当たるものとして損害賠償を求めたもの。
(2) 東京地裁は、人事担当課長は内定を取り消す権限を持っていなかった上、再研修を予定していることを告げたり、大学就職課の問い掛けに内定の辞退を勧めていないと明確に答え、本人からのもう少し時間が欲しいという要望を容れていることなどからすると黙示の内定取消しを行ったとはいえず、内定辞退を強要されたとは言えないとした。また、本件同研修における課長の発言中には、指導的発言としては些か行き過ぎの感がないではない発言が散見されるものの、社会通念に照らし客観的にみる限り、Xの自由な意思形成を著しく阻害するような性質のものであったとはいい難く、内定辞退を強要したものとは評価できない。さらにY社には、 Xが研修終了後直ちに両親を伝え、翌週には大学就職課を相談に訪れ、翌月にはX代理人の事務所を訪れて相談してY社との交渉方を依頼した上、就職留年を申請していることからすると、課長の発言が叱咤激励の範囲にとどまる穏当なものであったとは考え難いことなどからすると、内定辞退の申入れは、信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたとまではいい難く、Xは債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負うものではない。
引用:全国労働基準関係団体連合会 「労働基準例検索」
以上の判例から分かるとおり、基本的に内定辞退をしたとしても損賠賠償をする必要はないと言えます。
また、民法627条1項の定めにより、内定辞退は原則14日以上前(2週間前)に告知すればいかなる理由があっても解約することが可能です。
参照:法令検索『民法 第二章 契約 第八節 雇用』
内定辞退の引き止め
内定承諾後に内定を辞退した場合、企業側から内定辞退を強く引き止められる可能性があります。
企業は内定承諾を得た方の入社準備に時間とお金をかけており、もし入社する人が減るとその分だけ再度採用活動を行うことが必要です。
そのため企業は内定辞退をしないように引き止める動機がありますが、就活生には内定辞退を選択する権利があるので企業側から府に落ちないことを言われても大人な対応を心がけて辞退をしましょう。
内定承諾後に辞退する場合のコツ
内定承諾後に辞退する場合のコツについて紹介します。
- 内定承諾書はすぐに提出しない
- 辞退する場合は早めに伝える
-
辞退理由で嘘をつかない
内定承諾書はすぐに提出しない
内定承諾後の辞退をスムーズに行うには内定承諾書の提出は慎重に行うことが重要です。
もし内定承諾書を提出してしまうと入社を辞退する心理的なハードルが高くなり、入社意欲が低くても入社せざるを得ない状況になります。
また、他社の合否を待っている場合は内定承諾書の提出を検討する時間をもらえないか確認すると良いです。
他社の合否を待っていなくても、本当に就職したいかをもう一度考え直す時間を確保することも重要なので、内定承諾書は慎重に提出しましょう。
辞退する場合は早めに伝える
内定承諾後に辞退することを伝える場合は、後回しにせず早めに連絡しましょう。
もし内定辞退の連絡が遅くなると、内定先の企業では入社に向けて準備が始まっている可能性が高いため内定先の準備が無駄になってしまいます。
また、内定先の企業に応募した他の就活生に不採用の連絡を入れている可能性があり、本当は内定をもらえたはずの就活生の将来を奪ってしまうことに繋がりかねません。
以上の理由から、内定承諾後に辞退することを伝える場合は早めに伝えるのが望ましいです。
辞退理由で嘘をつかない
内定承諾後の内定辞退では辞退の理由に嘘をつかないことを心がけましょう。
内定承諾後に内定辞退をする就活生の中には内定先の企業に対して後ろめたい気持ちが生じて嘘の理由を伝えてしまう方がいるかもしれません。
しかし、法律的にも辞退は認められているため「入社意欲がなくなった」「他社の内定を受けることにした」と正直に報告しても問題ないです。
また、正直に辞退する理由を伝えた方が誠意を見せることができ、嘘がバレた際の内定先とのトラブルを防ぐことができます。
内定承諾後に辞退する場合によくある質問
これから、内定承諾後の辞退に関してよくある質問について以上の3つをそれぞれ解説していきます。
内定辞退はいつまでにする?
内定辞退は最低でも入社日の2週間前までに連絡しましょう。
民法627条1項の定めにより、内定辞退は原則14日以上前(2週間前)に告知すればいかなる理由があっても解約することが可能です。
しかし、入社日前の2週間を過ぎてしまうと雇用契約を解消できないリスクや内定先の企業で選考をやり直すコスト、内定者のために購入した備品のコストが発生するリスクがあります。
参照:法令検索『民法 第二章 契約 第八節 雇用』
内定辞退で裁判までいくケースはある?
内定承諾後に内定を辞退したことによって裁判で損害賠償請求をされるケースが存在します。
実際に『X社事件』と呼ばれる裁判では内定承諾後に内定を辞退した就活生に対して内定先の企業から損害賠償が請求されました。
参照:全国労働基準関係団体連合会 「労働基準例検索」
内定辞退は電話?メール?
内定承諾後に内定辞退を伝える際は電話で伝えることが最優先です。
内定承諾後は内定先の企業が入社の準備を行なっている可能性が高いので、それらの労力を無駄にしてしまうことへの謝罪の気持ちを電話で伝えましょう。
ただし、電話が繋がらなかった場合や入社日まで期間が空いている場合はメールでも問題はありません。
まとめ
内定を辞退する方は新卒で約6割、中途で約1割と就活生の内定辞退率が高い傾向にあります。
内定承諾後に内定を辞退する理由は他社から内定を頂いたことや入社意欲の低下が主ですが、内定辞退には損害賠償請求や引き止めなどのトラブルも起こります。
そのため、内定承諾書を提出する前にしっかり考え直した上で、辞退する際は早めに連絡し嘘の理由を伝えないようにしましょう。
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