
転職先が決まってから退職する場合の伝え方・期間・手続きを解説
転職先が決まった時に、現職に退職の伝え方が分からない人もいるでしょう。この記事では、転職先が決まってから退職する流れ・手続きや、退職する前にやることなど、退職手続きについてまとめています。無職の期間を発生させないメリットについて解説しますので、ぜひご参考ください。
転職先が決まってから退職を伝えるのは遅い?
結論として、転職先が決まってから退職を伝えると、状況によっては退職が遅くなってしまうかもしれません。
退職の希望を伝えても、業務の引き継ぎや、有給休暇の消化などの関係で即日辞められないことが一般的です。
このことからも、転職活動は少し前倒し気味に、退職希望月の3〜4ヶ月前から始めるのがおすすめです。できるだけ繁忙期ではない期間に行うと、スムーズに退職の交渉や手続きが進められるでしょう。
転職先が決まってから退職する流れ・手続き
適切に退職をするためにも、退職にまつわる手続きを理解しておきましょう。
退職する1〜2ヶ月前にやること
退職する1〜2ヶ月前にやることは、以下の2つです。
- 就業規則を確認
-
退職したいことを上司に伝える
就業規則を確認
退職を意識したタイミングで就業規則を確認しましょう。転職先が決まる前であってもです。
就業規則は、会社によってそれぞれ異なりますが、基本的には退職日の1〜2ヶ月前に報告をする会社が多いようです。
退職したい場合、何日前までに連絡する必要があるのかどうかを、しっかり確認しておきましょう。
退職したいことを上司に伝える
就業規則を確認したあとは、退職の意思を直属の上司に伝えましょう。
退職を伝えるタイミングとしては、繁忙期を避けた業務時間外の終業後がゆっくり話せておすすめです。
また退職の旨を伝えると、引き止めに合うパターンもあります。その際、すでに転職先が決まっていると伝えると交渉がうまくいきやすいです。
退職する1ヶ月前にやること
退職する1ヶ月前にやることは、以下の2つです。
- 退職届を会社に提出する
- 業務の引き継ぎを行う
退職届を会社に提出する
退職の意思が固い場合、退職願より退職届を渡した方がよいでしょう。
退職願は退職したいことを願い出るための書類であり、退職届は退職を申し出る書類です。
退職届は会社との合意後に出す書類であり、正式に辞められる書類になるため、退職届を提出するとよいでしょう。
また退職の意向は、最初は必ず直属の上司に伝えるようにしましょう。
業務の引き継ぎを行う
上司と話し合い退職日が決まったら、業務の引き継ぎを行いましょう。
引き継ぎには、最低でも1ヶ月期間が必要と見た方がいいです。
早めから退職することを決めている場合は、先に引き継ぎ事項のマニュアルを作成しておくと、スムーズに引き継ぎすることが可能です。
また取引先の窓口の引き継ぎがある場合は、早めにアポイントを取って後任と挨拶に向かいましょう。
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退職当日にやること
退職当日にやることは、以下の2つです。
- 会社から書類を受け取る
- 会社から借りていた備品などを返却する
会社から書類を受け取る
退職時に会社から渡される書類を、しっかり確認しましょう。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 離職票
- 源泉徴収票
雇用保険被保険者証・離職票・源泉徴収票は、退職時に会社から受け取ります。
年金手帳は厚生年金への加入手続きに使うため、必要になります。いずれの書類も転職先で必要なため、受け取り忘れないようにしましょう。
会社から借りていた備品などを返却する
以下のような会社から借りていた備品などは、忘れずに返却するようにしましょう。
- 健康保険被保険者証
- 名刺
- 社員証
- 通勤定期券
- 業務に関わる書類・データ
いずれも退職の10日前あたりから、チェックしておくのがよいでしょう。特に私用のPCに業務データが入っている場合、消去を忘れないように気をつけてください。
また、JobQに退職手続きで保険証を会社に返却した際の質問が寄せられていたため、ご紹介します。
退職手続きで保険証を会社に返却した場合病院に行けますか?
現職の会社の退職手続きの際に保険証を会社に返却したのですが、次の会社の入社日が6/1で、それまで保険証を持っていない事になるのですが、病院等に行く場合どのように対応すべきでしょうか?
ちなみに今現在は有給消化中で会社には行っておらず、健康保険の保険資格喪失日は6/1に合わせていただいております。
どなたか、教えてください
保険証の返却は、退職日後が通常ですが、、。
郵送で返却。
現保険証は、5.31まで使用可能です。
総務や人事から…続きをみる
まだ社会保険が使用可能な期間である場合、総務や人事に問い合わせた方がよさそうです。
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【退職を伝える手順】転職先が決まっているケース
転職先が決まっているケースの退職を伝える手順は、以下の通りです。
- 退職は直属の上司に1番に伝える
- 朝や夕方など人がいない時間帯にアポを取る
- 退職日は上司と相談して決める
1. 退職は直属の上司に1番に伝える
退職の意向は、直属の上司に1番に伝えるようにしましょう。
直属の上司が自分以外の人から退職の意思を知るのは失礼に当たります。上司の管理能力に疑問を持たれることもあるでしょう。
親しい同僚などであれば、話やすいため先に伝えがちですが、上司への報告が最優先です。退職を伝える順番は間違えないように気をつけましょう。
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2. 朝や夕方など人がいない時間帯にアポを取る
退職を伝えるのは、朝や夕方など人がいない時間帯がベストです。
日中の仕事をしている時間帯だと、上司も忙しく、退職の話をそらされる可能性があります。
また、周りに退職の情報が伝わらないようにするために、個室の中で話し合いをしましょう。
周りにばれるとトラブルになる可能性があるため、人の少ない時間と場所を選ぶのがポイントです。
3. 退職日は上司と相談して決める
退職日はなるべく一方的に押し付けて伝えないように、上司と相談して決めましょう。
まずは退職希望日を伝えて、交渉を切り出します。
現在の業務を引き継ぎする必要もあるため、一方的な決めつけはトラブルの原因になります。
受け入れてもらえるよう、お互い歩み寄って交渉するように意識しましょう。
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上司へ退職の意思を伝える際のポイント
本章では、上司に退職の意思を伝えるポイントについて解説していきます。
- 退職を迷う気持ちは払拭してから伝える
- 繁忙期を避けて退職までのスケジュールを組む
- 転職先については伝えなくてもいい
- 転職理由に会社や同僚の悪口を言わないようにする
退職を迷う気持ちは払拭してから伝える
退職に対して迷う気持ちが見えると、上司から引き止められやすくなり、なかなか退職できなくなります。
退職の話を切り出すことは、辞める意思がある表れです。
なるべくあやふやな表現は避けて、仕事を辞める強い意志表示をしましょう。
繁忙期を避けて退職までのスケジュールを組む
なるべく繁忙期は避けて、退職までのスケジュールを組むようにしましょう。
繁忙期の場合、引き継ぎに十分な時間が取れず、上司に退職を伝える時間を確保しづらくなります。
また忙しいことを理由に、上司から引き止めに合う可能性もあります。
そのため退職するまでの日程を逆算して、余裕が持てるように調整しましょう。
またJobQに、上司から引き留められて退職がスムーズに進まない人からの質問が投稿されていました。
退職時に引き止められてしつこいのですがどうしたらいですか?
転職先が決まり、現職を辞めると伝えても保留にされ辞めさせてもらえません。
もう限界なんですが、、なるべく円満退職したいのですが、何か良い方法ないですか??
皆様の意見聞きたいです。
違法行為ですから、すぐ何とかなります。
録音しておいて、録音を聞かせながら、これ以上言ったら労基法違反なのでこの録音を労基署に提出する、民法上の違法行為なので労働審判起こす、業界関係のユニオンにも見せて組合争議もやってもらう、…続きを見る
回答にもあったように、会社は社員の退職を引き止める権利はありません。
退職の伝え方に困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
転職先については伝えなくてもいい
退職を伝える際は、転職先について話す必要はありません。
なぜなら円満退職ができなかった場合、とくに同じ業界への転職だと、悪口を言いふらされる可能性もあるからです。
そうなると、転職先で仕事を続けるのが難しくなります。
転職先を伝える義務はないため、聞かれても言わないようにしましょう。
転職理由に会社や同僚の悪口を言わないようにする
上司に転職理由を聞かれたら、会社や同僚の悪口を言わないようにしましょう。
不満や悪口は相手に悪い印象を与え、円満退職ができなくなる可能性があります。
また引き継ぎや職場の人への挨拶などが、やりにくくなるかもしれません。
不満があってもその場はこらえて、前向きな理由を伝えるようにするのが賢明です。
転職先が決まってから退職するメリット
まずは、転職先が決まってから退職するメリットを確認していきましょう。
- 収入の心配がない
- 転職活動の期限がない
- 無職の期間が発生しない
- 面接で退職理由を深堀りされない
収入の心配がない
転職先が決まってから退職する場合、次の職場が決まっているため収入がなくなる心配はありません。
転職先が決まる前に退職をすると、無職の期間が発生し、収入がない期間が発生します。
失業保険にも期限があります。就職活動がいつまで続くかわからない状態で退職するのはリスクと言えるでしょう。
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転職活動の期限がない
退職後に転職活動をおこなうと、早く次の職場を決めなければいけないと感じてしまい、焦ってしまう方もいます。収入がなくなるため、金銭的な面で早く転職先を決めたいと考える方もいるでしょう。
しかし転職先が決まってから退職するなら、現在の仕事を続けたまま転職活動をおこなうことになります。
収入や期限の問題もないため、じっくり時間をかけて転職活動を進められるのはメリットといえます。
さらに自己分析や企業研究も時間をかけてできるのも、転職先が決まってから退職するメリットとなるでしょう。
無職の期間が発生しない
転職先が決まっているのであれば、退職後のブランクが発生しません。
ブランクなく働くのは、今後のキャリアプランにも良い影響を与えます。
退職はその場限りのものではなく、これから働く人生にも関わってくることを忘れないようにしてください。
面接で退職理由を深堀りされない
退職してから転職活動を行うと、面接の際になぜ在職中に転職活動を進めなかったのか深堀りされる場合があります。計画性のない退職だったのではないか、とさまざまな印象をもたれる可能性もあるでしょう。
しかし転職先が決まってから退職しているのであれば、このような質問をされることはありません。
また、転職に合わせて退職を考えているのは採用する側にとってポジティブな印象になります。
転職先が決まってからの退職でよくある質問
最後に、転職先が決まってからの退職でよくある質問を見ていきましょう。
- 転職先が決まってから退職しない場合に使える手当・制度は?
- 転職先が決まってから退職するのにおすすめな時期は?
- 転職先が決まってから退職するコツは?
- 転職先が決まっているのに退職させてくれないときはどうする?
- パートも転職先が決まってから退職した方がいい?
転職先が決まってから退職しない場合に使える手当・制度は?
転職先が決まらないまま退職したとしても、使える手当・制度は、以下の2つです。
- 失業手当
- 再就職手当
まず、失業手当はハローワーク手続きが行えます。
自己都合退職の場合、申請から3か月後に支給が開始されます。
リストラや倒産などによる退職は、特定理由離職者として申請から7日後です。
ただし、口座へ振り込まれるのは約1ヶ月後からのため、注意してください。
また受給期間は年齢、雇用保険の被保険者であった期間、退職理由により、90日~360日の間で決められます。
次に再就職手当は、再就職するまでの期間にもらえる手当です。
そのため、支給タイミングや金額が異なるため注意しましょう。
再就職手当の金額は、失業手当の支給残日数に応じて、以下のように決まります。
【失業手当の支給残日数が3分の2以上の場合】
基本手当日額×支給残日数×70%
失業手当の支給残日数が3分の1以上の場合
基本手当日額×支給残日数×60%
つまり失業手当の支給残日数が、3分の1以上残っていることが条件ですので、注意してください。
再就職手当はハローワークから再就職手当支給申請書を受け取り、就職先に提出することで受け取れます。
転職先が決まってから退職するのにおすすめな時期は?
退職を伝えるタイミングで多いのは、7月〜8月や12月〜1月です。
この時期は、ボーナスが出たあとのため退職を伝える方が多くいます。
会社によっては、賞与をもらう前に退職の意思を伝えると賞与をなかったことにするパターンもあります。
確実に賞与をもらってから退職を伝えれば安心でしょう。
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転職先が決まってから退職するコツは?
転職先が決まってから退職するコツは、以下が挙げられます。
- スケジュールを計算する
- 引き止めをしっかり断る
- 有休消化やボーナスを重視しすぎない
まず転職先が決まっている場合、入社日が指定されているパターンが多くあります。入社日に合わせて退職日を決める必要があるでしょう。しっかり余裕を持って、スケジューリングを行うのがおすすめです。
続いて、転職先が決まっているのであれば、引き止めを必ず断らなければいけません。強い意思を持って、次の職場が決まっていることを伝えてください。
最後に、有給消化やボーナスを全額もらってから退職したいと考える方も多くいます。しかし有休消化やボーナスを重視しすぎた結果、退職を伝えるタイミングを逃したり、うまく円満退職できなかったりする可能性があるため注意しましょう。
転職先が決まっているのに退職させてくれないときはどうする?
転職先が決まっているのに退職させてくれない場合は、再度上司に退職の意思を伝え、転職先の入社日も決まっていることを伝えてください。
法律では、2週間の予告期間を経過すれば、労働者はその理由の如何を問わずに辞職することができると定められています。
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
参考:民法 第六百二十七条
どうしても円満退職が難しいのであれば、あまりおすすめできませんが、内容証明郵便で退職届を送付するのも解決方法のひとつとなります。
また退職代行サービスを利用するのも、退職させてもらえないときの解決方法です。
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パートも転職先が決まってから退職した方がいい?
パートの場合も、転職先が決まってから退職した方が良いでしょう。
ただしシフト制のパートの方は、次の月のシフトが確定する前に上司に伝えると良いでしょう。
周りに迷惑がかかることなく、円満に退職できると考えられます。
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転職先が決まってからの退職しよう
今回は、転職先が決まってから退職について紹介しました。
転職先が決まってから退職するのは、多くのメリットがあります。
また退職を伝える際、引き留めに合う可能性もあるでしょう。
もし転職先が決まってから退職する場合は、この記事で紹介した伝え方などをご参考ください。
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